第13回 プラチナアート大賞2020 発表展示会
審査総評
緊急事態宣言の影響で、特に4月5月の各公募展がのきなみ中止となった関係もあろうか、今回は平年に比べ応募数が減少した。プラチナアート大賞展でも日展会館での展覧発表会の中止をよぎなくされた。しかし、前年から応募してきた熱心な人達になんとか報いたい、こんな時だからこそ希望が必要と考え本展を実施した次第である。結果的に有名美術大学出身者を中心にレベルの高い作品が集まった。喜ばしいことである。入学試験にデッサンの試験が最も重視される美大出身者に対抗するには、独学者や中年期から制作を始めた人などは、さらにこの基本を磨きすぎることはないということを肝に命じてほしい。
一方、非常識な応募者も目立った。応募写真のサイズを守らず、複数応募なのに裏に出品票が貼っていないのでどの作品がどれなのかわからない。また、別の応募者ですでに手元にない作品の写真を混ぜて送ってくるなど。これではとても選ばれる立場ということをわきまえているとはいえない。別のプラチナアート協会入会希望者だが態度が非常に失礼なので断ったこともある。我々主催者は百貨店取引の画商として誰にでも丁寧な態度が常であるが、なにか勘違いをしているとしか思えない。作品云々以前にルールを守れないとか、礼儀に欠ける人物はとても百貨店のような堅いところに紹介するのは難しい。もちろん大半はきちんとした応募者であるので、次回も力作を期待している。
プラチナアート大賞
金森正樹 『暮れる夏』 油彩
つややかな髪、くっきりとした化粧気のない顔とむき出しの腕の輝き、青春そのものである。少女の表情が何かストーリーを含んでいて、とても好感の持てる作品になっている。筆使いも巧みで才能と力量が見て取れる秀作に仕上がっている。
杏 奈 『祖父の仕事場』 水彩
何十年にも渡って日々繰り返されてきた日常の風景であろう。祖父の後ろ姿に人生の重みを感じる。細かな仕事道具が一つ一つ丁寧に表現されていて、時間の流れまでもがかもし出されている。作者の感性と対象の存在感に圧倒される力作である。
○以下の作品は画像をクリックすると拡大します。
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最優秀賞 金子一生
(ターレンスジャパン賞)
『あなたに花を』
寓意的で個性的な題材に惹きつけられる。色彩に優れた表現力と造形力が感じられる作品である。画面構成も成功している。
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優秀賞 柿本セエカ
(ターレンスジャパン賞)
『黄昏の錦江橋』
つかの間の印象を上手く描き出している。川面に映る夕景と、柔らかな光を含んだ黄昏の空気感が凛とした美しさを保っている。
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敢闘賞 吉田勇輔
(ターレンスジャパン賞)
『さざんか』
さざんかの質感に確かな描写力が現れている作品である。何より生命力と存在感がにじみ出ていて魅力的な画面になっている。
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審査員賞 タナカヨシノリ
(毎日アートプランニング賞)
『朝霧の導き』
とても繊細な鉛筆の扱いによって、幻想的な世界が立ちのぼってくるように描き出されている。デッサン力も優れているが、巧みなテクニックを駆使しており、それが感性とうまく融合した作品である。
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努力賞 佐藤 龍
(毎日アートプランニング賞)
『昆虫記』
昆虫たちの動きに注視させられる。色彩の豊かさや装飾性に優れていて、鑑賞者を楽しませる絵に仕上がっている。カブトムシと背景の色の対比も効果的である。
出品申込み順
高松典雄、宗岡卓治、なるかわじゅん、惣田理子、小野蓮月、橋本秀樹、大迫弘美、
河内節子、大橋正幸、根本浩二、遠藤克己、徳田政志、森生 德、yayahills、福嶋 裕、村上泰斗、石原由唯、村澤博美、SATO、梶原大義、樋口奈穂、SAKURAKO、照井弘美、 玉利直江、菊池和恵、佐藤真穂、福原好克、宇根本啓美、小野川真理、渡邊純子